モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
こんなことしてる
場合じゃない
でしょうに。

そう思ってあきれる
姫乃の口元に、
意に反して笑みが
浮かぶ。

緊迫した状況だと
いうのは嫌というほど
わかっているのに、
余裕そうな凍夜が
そばにいるだけで、
不思議と緊張が
やわらいでしまう。

「…何、笑ってるの。」

「え?…いい夢だと思って。」

「夢じゃないよ。」

「わかってる。でも、夢みたい。」

好きな人が、ピンチの
時に颯爽と現れ、
助けてくれる、素敵な夢。
< 666 / 726 >

この作品をシェア

pagetop