モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…キミが、ずいぶん
無茶したせいで、
素敵も何もあった
ものじゃないね。」

片腕を失い、火傷を
負っている自身の現状を
示唆されて、姫乃は
一気に現実に引き戻された。

「…ごめんなさい。」

「まぁ…ただ他力本願な
だけの女なんて
興味ないけどね。
無鉄砲で身の丈に
あわない無茶も
平気でするような
キミだからいいんだ。」

そんな凍夜の言葉に、
やっぱり姫乃は
笑ってしまう。



あぁ。



夢より、現実の方が、
よっぽど素敵。



心地よいぬくもりに
心身をゆだねて、
姫乃はゆっくりと
目を閉じた。

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