モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「朔夜様。」

声のする方を見ると、
黎明と天明に支えられながら
庭を抜けてこちらへ
向かってくる
朔夜の姿が見えた。

沙羅があわてて駆け寄ると、
黎明も天明もこころよく
朔夜を支える役を
譲ってくれる。

ゆっくり朔夜の負担に
ならない動きで、
二人が近くの東屋に向かうと、
先に東屋についていた
黎明が椅子を用意してくれた。

二人でそれに腰かけて、
天明が入れてくれた
お茶を楽しんだ。

「…もしかして、また、
お義兄さまがお姉さまを
怒らせたの?」

朔夜がここにいる
理由を予想して、そう尋ねた。

「ええ、そのとおりですよ。」

朔夜は、あきれたような
ため息をつく。
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