小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「あ……」


圭が静かに教室を出ていく。


あたしは圭に伸ばした手を、そっと引っ込めた。


「歌恋、練習行くよ」


何事もなかったかのように、あたしに笑みを向ける良ちゃん。


歯がゆい。


あたしは、何も出来ない。


あたしが動くと、余計関係が崩れそうな気がして。


あたし達って、この程度だったのかな?


ずっと一緒にいたのに、この程度で関係が崩れるくらいもろい絆だった?


……すごく悲しい。


時間って、無情だ。


その時の状況に合わせて秒針をゆっくり進ませようなんてことは、一切考えてくれない。


なんて空気の読めない時計なの?


そして、神様は意地悪だ……。



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