小さな恋の虹〜キミと描く夢〜

良ちゃんと武内くん



島に帰って圭に会えば、今のこのすれ違いは解消できる。


そう信じて、あたしは夏休みまでの間、勉強とバイトを死ぬ気で頑張った。


良ちゃんともスケジュールを合わせ、島へ帰る計画も順調に進んでいる。


もうしばらくの我慢……。

あと少しで、圭に会いに帰れる。



そう思っていたのに……。


「……え?
休み、ずらしてほしいって……?」


講義が終わってノートや筆箱を鞄に直していると、急に武内くんが両手を合わせてきた。


「今、店長がシフト組むのに苦しんでてさ。
忙しい時期にまた辞めたヤツがいるから、今ほんとキツイみたいなんだ」


『頼む!』と、武内くんが力強く手を合わせて申し訳なさそうな表情で頭を下げる。


……休みをずらしたら、良ちゃんとスケジュールが合わなくなる。


あたしだけ遅れて帰ればいいけど、でも、そうしたら今度は良ちゃんがこっちに戻ってこなきゃいけなくなる……


せっかく島に帰るんだから、3人でまた一緒に話をしたかったな……



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