光のもとでⅠ
 当たり障りのない話をしながら朝食を終えると、司先輩が席を立ち、
「じゃ、また学校で」
 と、かばんを手にした。
 え……一緒に登校しないの?
「……なんで朝から姉さんと登校しなくちゃいけないんだ」
 ボソリと零し、そのまま「いってきます」と部屋を出ていった。
 わからない……どうしてそこまで湊先生を毛嫌いするのだろう。
「あんなの放っておきなさい。ほんっとにかわいくないんだから」
「……司先輩がかわいかったら、その時点で司先輩じゃない気がします……。むしろ怖いかも。雹とか降ってきそう」
「……それ、言えてるわね」
 真顔でそんな話をしていると、静さんはクスクスと笑っていた。
 コーヒーのいい香りがしてくると、静さんが立ち上がりキッチンへと入っていく。
 少ししてから戻ってくると、その手には硬質な感じのするメタルレッドのタンブラーが握られており、
「ほら、コーヒー」
 と、湊先生に渡す。
「あら、一族のナンバーツーにコーヒーを淹れてもらえるなんて光栄だわ」
 先生は皮肉っぽく返したけれど、
「湊にならいつでも淹れるさ」
 と、静さんは皮肉をものともせず返した。
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