光のもとでⅠ
『翠葉? どうした?』
「……どうもしない。でも……すごく不安で、帰りたい」
『……唯のことを気にしているのか?』
「学校に来たら、すごく不安になっちゃって……離れてるの怖くて……」
『……そんなんじゃ授業受けても意味なさそうだな。湊さんに換わって?』
「はい……」
 先生を見ると、先生はこちらを見ていた。
「先生、蒼兄が電話換わってほしいって……」
 先生はすぐに立ち上がり、まっすぐにこちらへ歩いてくる。
 相変らず足が長く、私のところまで四歩くらいでたどり着く。
 手に持っていた携帯を渡すと、
「何? ――そのつもり。ま、いい機会でしょ? ――は? 何のご用かしら……。――あぁ、ちょっと待って?」
 先生は携帯を耳から離すと、
「翠葉、少しくらい歩ける?」
 意味がわらかなくて。「え?」と訊き返す。と、
「血圧は低いけどそのほかは割りと正常。痛みがなければ少し歩いてみるかって訊いてんのよ。どうやら途中まで静さんが歩いてお出迎えに来てくれるようよ?」
 湊先生はどこか楽しそうに話した。
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