光のもとでⅠ
「でも、彼女は違うと?」
「違うわね……。翠葉ちゃんって、きっと無菌室で育っちゃったような子なのよ。だから、そこら辺にいる高校生との感覚とも大きくかけ離れたものを持ってると思うわ。良くも悪くもね」
「……知ってるつもりで、全然わかってなかったかな」
 キスマークがストレスになったかもしれない。
 それは、楓と湊ちゃんの電話から察することができた。けど、こんなことになっているとは――。
「翠葉ちゃん、今は学校に通うことと体調を安定させることに専念したくて、それ以外のことはキャパシティーオーバーって言ってたわ。……意味、わかるわよね? つまりはそういうことなの」
 俺は……仕事と翠葉ちゃんならば翠葉ちゃんを優先させてしまうだろう。
 けれど、彼女は学校と体調、それから俺を秤にかけると、前者に傾くということ。
 やっぱり、想いの丈が違いすぎる――。
 鳩尾のあたりが痛むのを堪え、口を開く。
「俺、しばらくはマンションに戻らない予定なので、当分は彼女に会えません。代わりに俺の部下が俺の部屋に寝泊りすることになっています」
「それはなぜ……?」
「今、彼女に会うと、真面目に襲っちゃいそうなんですよ。それくらい俺には余裕がない。少し頭を冷やして出直してきます」
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