光のもとでⅠ
「中等部のときから探し始めて六年越しよ? 私がずっと騒いでたの覚えてない?」
「なんとなく誰かを探していることくらいですが……」
 人の会話など聞こうと思わなければ関心もなかった。
 生徒会メンバーですら、関心を持つことができなかった。
 ここまで長い付き合いになってやっと……と思いたいところだが、それも違う。
 翠が絡んでいなければ、今この時点でも生徒会メンバーと言葉を交わしているかすら怪しい。
 突如、インターホンが鳴りドアをノックする音がした。
「あ、久よっ! サンドイッチを三人分買ってきてもらったの」
 茜先輩が嬉しそうにドアへ駆けていく。
 ドアが開くと、「あちいいいいっ」と言いながら両手にビニール袋を持った会長が入ってきた。
「で? 何してたの?」
 と、相変わらず高三には見えない容姿で尋ねられる。
 それには茜先輩が答えた。
「ちょっとした昔話。コンクールの女の子の話」
 会長はその言葉だけで、「なーる!」と納得した。
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