光のもとでⅠ
 人ひとりでマイナス一度ね……。
 マイペースすぎるあんちゃんに苦笑がもれる。
 あらかじめ出してあった引き出しベッドにあんちゃんが座り、サイドテーブルにカップを置いた。
 たぶん中身はアイスコーヒー。
「悪いけどインスタントだから」
 時々インスタントコーヒーが恋しくなる俺には全然問題もなく……。
 あんちゃんの行動を見ていると、放り出されたリィの右手に軽く自分の手を重ねた。
「それ、何?」
「起きないためのおまじない?」
 真顔で言うから救えない。
 でも、手が重なったらリィの表情が変わった。
 安心……? どこかリラックスした感じの顔つき。
 あんちゃんの言った言葉は強ち嘘じゃないのかもしれない。
 この人、どこまでリィの生態に詳しいんだろう……。
 いつかリィ取扱説明書とか作らせてみたい。
 で、秋斗さんに高額で売りさばくっ!
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