光のもとでⅠ
「いつから?」
 湊先生の鋭い視線が私に向けられていた。
「栞さんが具合悪くなった数日後くらいからです」
 どうにも罰が悪く答えづらい。
「場所は?」
「今までは左の上半身でしたけど、最近は鎖骨や肩、腕、手首、手にも痛みが出ます。それから、腰も……。右側が痛くなることもあって、右腕の力が……入りづらいです」
「力は入りづらいだけ?」
 その目は、ごまかしは通用しないと言っていた。
「……痛みもあります」
「どんな痛み?」
「ズキンズキンって痛むときもあるし、骨が砕かれるような痛みのときも――腰は抉られるような感じです」
 単なる問診のはずだけど、なんだか悪いことをした子みたいに先生の目と視線を合わせられない。
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