光のもとでⅠ
 静さんが言わんとすることがわからなくてじっと見ていると、
「ホテルの四十一階はほとんど人の出入りがない。部屋も余っている。世話をする人間が必要なら接客要員を数名用意しよう。人間を日替わりで代えれば情が移ることもないというものだ。それくらいの人出はホテルなら十分にある。あとは医者だが、病院から医者を派遣させることも可能だ」
 私は今、何を言われているのだろう……。
「リィ、病院に入らないっていうことは詰まるところこういう問題だよ」
 すぐ隣で支えてくれている唯兄が静かに話す。
 そんなことはわかってる。でも、違う。そうじゃなくてっ――。
「姫、言いたいことは口にしないと伝わらないよ」
 いつの間にか、静さんが目の前に立っていた。
「静、やめて――」
 低く静かな、それでも声に芯があるお母さんの声が聞こえた。
「私は栞ちゃんが復帰しだい現場に戻ります。それでことは済む話でしょう?」
 後ろから前へ出たお母さんは悠然と――または挑むように静さんを見据えていた。
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