光のもとでⅠ
「翠葉、静との話はもういいかしら? 私も静に話すことがあるから、唯くん、悪いんだけど翠葉をお願いできる?」
 さっき見た無表情のお母さんではない。
 顔に笑みを浮かべてはいるけれど、それは上辺だけ。目の奥には静さんへ対する負の感情がこめられているように見えた。
 唯兄は無言で頷くと、私をリビングの方へと促した。
 そのすぐあと、玄関のドアチャイムが鳴り、お母さんと静さんが外へ出たことがわかった。
 振り返ったところでもうそこにふたりはいない。でも、振り返らずにはいられなかった――。

 少しヒリヒリしたままの心で部屋へ戻ると、珍しいメンバーがとても楽しそうに話をしていた。
 私の心の中とは雲泥の差。
「翠葉ちゃん、どうかした?」
「いえ、何も……」
 唯兄は何も言わずに私をベッドへと導く。
 すると、蒼兄が点滴のパックを渡されてカーテンレールに吊るしてくれた。
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