光のもとでⅠ
 ……そっか。医療従事者を志すものとしては放っておけない対象、か。
 ふいに思い出す。
 女子は苦手だと言っていたことを。でも、私のことは例外だと言っていた。
 それは、ただ単に身体が弱いからだったのね。
 でも、以前そうではないと言われたこともある。
 人間として興味があるから気になる、と。
 先輩……どっち? 本当は、どっち?
 こんな小さなことがものすごく不安になるのは、きっとこんな体調でこんな季節だからだ。
 ふたりが保健室を出ていくと、入れ替わりで川岸先生が入ってきた。
 そして予想していたとおり、期末考査の答案用紙が返された。
 答案用紙には暗号のような文字が並んでいる。
 こんなにひどい字をきちんと解読してくださった先生たちには頭が下がる思いだ。
 びくびくしながら力強く書き込まれている点数を見ていくと、それほどひどいものではなかった。
「御園生、がんばったな。生徒会脱落はなしだ」
 先生は満足そう話す。
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