光のもとでⅠ
 悩んでいる間に、
「あぁ、別に深く考えなくていいから……。とりあえず、これ、もう少し飲めば?」
 と、カップを口もとに近づけられた。
 さっき注意されたから、少しずつ少しずつん飲んだ。
「飲めそうだな?」
 顔を覗き込まれ、コクリと頷いた。
「じゃ、全部飲んで……。そしたらここを出よう」
 途端に手が震え出す。
「……いいよ。泣き言でも八つ当たりでも、毎日聞いてやる。怖いなら治療だって立ち会う。だから、前に進め」
 このとき思い出した。
 司先輩も優しい人だと……。
 ただ、いつだってどんな方向を向いている私とでも向かい合ってくれる器用な人で――。
「……みんなになんて言おう……」
 先輩の顔を見ると、
「間違ったことをしたときは?」
「ごめんなさい……?」
「そう、それで解決」
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