光のもとでⅠ
「……はい、まだお付き合いを始めたばかりなのですが……」
 突然のことにそれ以上の言葉は出てこなかった。
 おば様は軽くふふ、と笑った。
「嬉しいわ。蒼樹が翠葉以上に気になる子を見つけられたことも、翠葉がとても頼りにしている友達が蒼樹の彼女であることも。……これからもよろしくね」
 やつれた顔で、とても柔らかな笑顔を向けられた。
「こちらこそ……」
 そう返答するのが精一杯。
「母さん、とりあえず水分は摂ってくれるかな」
 蒼樹さんの言葉にスーパーの袋からポカリスエットを取り出し渡す。と、
「桃華、キッチンの真ん中の引き出しにストローが入ってるんだ。それ、持ってきてもらっていい?」
「はい」
 場所はすぐにわかった。
 蒼樹さんに渡すと、手際よくペットボトルにストローを刺した。
 おば様は手渡されたペットボトルを軽く持つと、少しずつ少しずつ口にした。
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