光のもとでⅠ
 点滴スタンドを押しながらナースセンターに向かって歩いた。
「あら、珍しいお客様ね? 来るのは明日じゃなかったかしら?」
 藤原清良――この人がここにいるのは予想外だった。
 じーさんの専属医師がどうしてここに……?
「どうかした?」
 藤原さんが彼女に声をかけると、彼女は一瞬顔を上げ、即座に首を横に振った。
「会長と静さんの許可を得たので、彼女の病室を十階に移します」
「あら、そうなの? どこの部屋を使うことになってるのか聞いているかしら?」
「第二病室です」
「じゃ、私は荷物を持っていくから御園生さんと先に行っていてもらえるかしら? あぁ、面倒でもセキュリティはひとつずつパスしてちょうだいね、って秋斗くんに言う言葉でもなかったわね」
「えぇ、作ったのは俺ですから」
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