光のもとでⅠ
『わかってるんだけどさ、なんて言葉をかけたらいいのかわからないんだよ。俺の周りで一番若いのって唯だしさ。司様には何度もお会いしているものの、あぁいう方だしね』
『でも、そんなんじゃ次に会うとき、リィがカチンコチンになっちゃうよ』
 それは言えてる……。
『そうか……』
『じゃ、テイクツー』
 えええええっっっ!?
 お仕事中に申し訳ないよっ。
 けれども蔵元さんはネクタイをきゅ、と締め直し、テイクツーを撮られる気満々だ。
『蔵元森です。翠葉お嬢様が早く元気になられますように、てるてる坊主――は作らないよな?』
 と、顎を掴んで考え込んでしまう。
『くくくっ、何それっ! てるてる坊主にお願いって天気じゃないんだからさ。はーい、カットカット』
 カットカット、とは言うものの、動画が止まる気配はない。
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