光のもとでⅠ
「さて、俺様も寝るかな」
「たぶん、夜中にナースコールは押さないですよ」
「痛み、ずいぶんとおとなしくしてやがるようだな」
 まるで痛みを怪獣か何かのように話すから少しおかしかった。
「このくらいの痛みなら全然大丈夫です」
「我慢は厳禁だ。いいな」
「はい」
 先生は、「おやすみ」の代わりに「とっとと寝ろや」と口にして病室を出ていこうとする。
「先生っ、おやすみなさいっ!」
 さっきツカサに言えなかった分も一緒に言った感じ。
 先生は歩みを止め、肩越しに振り返って「おやすみ」を言ってくれた。
 やっぱり――先生は優しいと思います。
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