光のもとでⅠ
「部屋から出ていってほしい。もう来ないでほしい。そう言われて俺は部屋を出た」
 ……これが、私のしたこと――。
 だから私の髪の毛は不揃いだったのか、と理解する。
 理解する、というよりは、現状と一致する。
 そんな感じ。
 思い出す、という感覚には程遠い。
 ハサミ――髪の毛を切る……。
 それで思い出したことがある。
 それは唯兄との会話。
 きっと、秋斗さんが部屋を出ていったあとの会話なのだろう。
 勢いよく天蓋を開けられ、「何をしたっ!?」と詰め寄られた。
 けれども、見れば一目瞭然だったのだ。
 唯兄との会話をすべて思い出し、静かに目を閉じる。
 涙を零さないように、自分を落ち着けるために――。
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