光のもとでⅠ
 その薬は主には精神科で使われる薬だという。
 けれども、湊先生は私が不信感を抱かないようにきちんと薬の説明をしてくれた。
「ペインクリニックの硬膜外ブロックと同じようなものよ。あれは末期がんの患者にする処置でもあるけれど、これも耐え難い痛みを抱えた患者に有効であることは臨床で実証されている。表立っては精神病の薬とされているけれど、常用外って使い方があるの」
 先生はお医者さんが使う薬の手引書のようなものを見せて私を納得させてくれた。
 こういうの、説明不足なお医者様についてしまったらつらいだろうな。
 治療方法が正しくても飲むのをやめてしまう人がいるだろうから……。
 痛みの本質を勘違いされたら患者はショックを受ける。
 そのときに感じる、「この先生にはわかってもらえない」という感情がドクターショッピングの引き金になるのだ。
 お医者さんはそこまで考えてお薬を処方してくれたらいいのに……。
 残念ながら、すべてのお医者さんはそうではないというのが現状のようだ。
 コミュニケーションって難しい……。
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