光のもとでⅠ
「(ふたりが部屋にいるから休めない)」
「わかったわかった」
 兄さんと姉さんは腰を上げた。
「珍しいもの見たさっていうのもあるけど、母さんをこの部屋に入れるよりは、俺たちが入ったほうがいいだろ?」
「そうそう、お母様に風邪をうつさないことがあんたの課題」
 肝には銘じている。
 でも、母さんは入ってくるなといっても二、三時間ごとに入ってくる。
 それをどう避けろというんだ。
「(それならマンションに移動したい)」
 申し出はあえなく却下される。
「たまには実家に家族が揃うのもいいじゃない。お母様が寝込んだら私が面倒みるわよ」
「ま、そうなったとき、父さんの冷たい眼差しからだけは守ってやれないけどな」
 ふたりはクスクスと笑いながら部屋を出ていった。
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