光のもとでⅠ
 高校へ通うようになって気づいたことがある。
 友達ができて、人と関わるようになって、私の世界は家だけではなくなった。学校という場所にも自分の居場所ができた。
 そう感じることができて初めて思ったこと。
 蒼兄にも家以外の世界があるのだろうか、と……。
 疑問に思うくらい、蒼兄は常に私の側にいてくれたから。
 友達がいても友達との時間を取れないんじゃないかと不安に思い、自分に時間を割いてもらいすぎていることを心苦しく感じた。
 けれども、高校を辞めることを意識すれば、蒼兄をひたすらに求めてしまう自分がいる。
 蒼兄にも家以外の世界があると、蒼兄独自の人間関係があると知ってもなお、自分の側にいてほしい、家以外に世界がない私と同じでいてほしいと思ってしまう。
 自分の環境が変わるだけでこうも考え方が変わってしまうのかと思うと、自分がひどく稚拙で薄情に思えた。
 それでも、高崎さんと話している蒼兄を見てほっとしている自分もいるのだから矛盾している。
 自分勝手だな……。

「この時間は少し混むかもしれないわね」
「あぁ、そうですね、でもかかっても四十分くらいでしょう。まだ五時回ってませんし、今日は火曜日ですから」
「蒼くん、車のキー預かるわ。私、ドア開けてくる」
「お願いします」
 ふたりの会話を聞きながら、私は部屋の中をきょろきょろと見回す。見回すといってもベッドから見えるものだけ。
「翠葉、大丈夫だよ。忘れたものがあれば俺が取りに戻るから」
 不安を払拭されて抱き上げられた。
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