光のもとでⅠ
「俺は真先に翠葉ちゃんの席を見るよ」
「……どうして?」
 空太くんを見上げると、
「いつも一番のりでしょ? で、誰かが入ってくるたびに目をやってはおはよって笑ってくれる。だから、まず翠葉ちゃんの席を見る。たぶん、みんな同じ。で、いないとあれ? ってなって、情報を持ってそうな桃に訊く」
「嘘……」
「嘘じゃないよ。……最初の一歩、その勇気だけはご自分でご用意を」
 空太くんがドアを開き、中へ促される。
「ほら、勇気総動員かけて右足出して!」
 恐る恐る教室に足を踏み入れると、廊下側の一番後ろの席の小川くんに、
「珍しく遅いからどうしたのかと思ったよ」
 と、声をかけられた。
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