光のもとでⅠ
「用件のみの電話、ねぇ……」
 ま、今の秋斗先輩にとったら難関のひとつは両親なのだろう。
 翠葉の状態は逐一両親に知らされる。
 母さんは何も口にはしないけど、かわいい娘が記憶をなくしたりICUに入ることになったり、倒れたりすることにいつも先輩が絡んでいるとしたら、きっと良くは思っていないだろう。
 母さんよりも父さんかと思って、父さんには俺の知る限りのことは話しているけれど……。
 翠葉は未成年だ――。
 そういうことを考えても、先輩にとってはクリアしなくちゃいけない部分なんだろうな。
 先輩は本気だ。
 そんなことは前から知っていたけれど、本当に本気なんだ。
 それを両親がどう受け止めるのか――。
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