光のもとでⅠ
 別に……ふたりだろうと人がいようと何も変わらないと思うけど……。
 席を立ち教室を出る。
 今日はやたらめったら人の視線がうるさく感じた。
 それは女子の視線も男子の視線も。
 何かついているのか、と廊下にある姿見で自分の頭からつま先まで確認してみたが、何かおかしなところがあるわけではないようだ。
 うるさい視線の中階段を下りれば、すぐそこに一年B組の教室がある。
 どこのクラスもホームルームを終えており、教室のドアは開け放たれている。
 階段の目の前にある後ろのドアから教室を見渡せば、教卓の前で海斗と話している翠がいた。
「翠」
 呼べば振り向く。
 ――「あ、ツカサ……そうだった」
 別に声が聞こえたわけではない。
 読唇したまで。
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