光のもとでⅠ

24

「翠葉、入るわよー?」
 湊先生の声が聞こえてすぐにドアが開いた。
「夕飯のスープと点滴」
 湊先生の後ろには蒼兄もいて、なんとなくほっとする。
「あんた、そんなわかりやすくほっとした顔してるんじゃないわよ」
「あ……ごめんなさい」
 先生はてきぱきと点滴の用意をする。
 一日中横になっていることもあり、血圧が低すぎるということもなく一発で針は刺さった。
「三時間くらいで落とすから」
 と、滴下の調節をする。
「先生、ずっと不思議に思っていたんですけど……」
「何?」
「この点滴スタンド、どこから持ってきたんですか?」
「うちからよ?」
 なんでもないことのように話す。
「病院からじゃなくて、家から……?」
「具合悪くなっても病院に来ないバカがいるからねぇ……」
「……バカ、ですか?」
「そう、秋斗よ。熱なら寝てれば治るとか言って、たいていは来ない。で、何も食べず薬も飲まずに寝てるていたらく。挙句、寝たきりにも我慢できなくて仕事しようとするから見るに見かねて点滴と薬の処方だけはしてあげるの。本当にどうしようもない……」
 散々な言われようだけど、湊先生の最後の一言には優しさと愛情のようなものが感じられた。
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