光のもとでⅠ
 俺は目の前にあるこの山をとっとと片付けたいわけで、それ以外にもやらなくてはいけないことは山ほどある。
「司? 司がいたらすごく助かることもたくさんあるけどね、司が一日抜けたからといって全部が滞るわけじゃないの。会計の仕事は会計の人がやるのがベストだけど、たとえばほかの人間が文系だろうが計算くらいはできるのよ」
 ドクリ、と心臓が波打つ。
 俺がショックを受けたわけじゃない。
 これはきっと、翠に自分を重ねただけ。
「……そうですね。俺ひとりがいなかったとして、とくに何がどうなることもないでしょう」
 そう言って席を立った。

 おかしい……。
 今までの俺なら、人にあれこれ指示を飛ばすだけ飛ばして、自分はその経過や管理をするだけの人間だったはず。
 何がどうしてこんなにのめりこんでる……?
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