光のもとでⅠ
「俺の八つ当たり――一方的に俺が怒っただけ」
「……理由は?」
 理由……。
「久しぶりに普通に話すことができたんだ。なのに、また呼び出し云々の話になって、挙句――」
 言葉に詰まるのも束の間。
「俺が翠と話すのは、俺が翠を異性だと思っていないからって結論にたどり着いたらしくて……」
 言い終わる頃には顔に笑みを浮かべていた。
 そういうふうに表情筋が動くのがわかった。
 口にしない限り、言葉にしない限り、翠が俺の気持ちに気づくことはない。
 そう思っているからこそ、わかっているからこそ、俺はこんなにも翠の近くにいられて頼ってもらえる位置にいられたというのに……。
 それを棚に上げて気づいてもらえない、わかってもらえない、と癇癪を起こしたなんてどうかしている。
 秋兄に言われるまでもなく、俺が悪い。
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