光のもとでⅠ
 ほら、部活も別だし学年も別。
 こうやって自分から絡まないと付き合いが深まらない人間だっているわけだ。
「はぁ……」
 佐野くんは要領を得ない表情で、間の抜けた返事をした。
「友達っていうか、春日先輩ってお兄さんって感じですよね? うち、姉がふたりなんでなんだか新鮮なんです。こういう関係」
「姉がふたりとはまたすごい環境そう……」
「そりゃすごいっすよ……なんたって双子ですしね。まず勝てません」
 たはは、と笑う佐野くんは「弟」の顔をした。
 長男だけど、長男よりは末っ子。
「うちは姉ちゃんと兄ちゃん、両方いる。ふたりとももう社会人で独立してるけどね」
「うちもです。ふたりとも独立して家を出てます。でも、ふたりでルームシェアしてるからなんていうか微妙ですけどね」
「今度カラオケでも行こうよ」
「いいっすね! あ、海斗とかも誘いたいな」
「あ、いいね。朝陽や司も誘いたいな」
 その一言に驚かれる。
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