光のもとでⅠ
 何を今さら……。
「ま、そうなんだけどさ」
 いつもなら嬉しそうに話すことを今日は翳りのある表情を見せる。
 ……昨日だってマンションまで迎えに来ていたはず。
「何かあったんですか?」
「何かあったのはずいぶんと前のことだよ」
 いつもの会長ではないことは確かだった。
 今日は朝練中止だろうか……。
 俺も、少し人と向き合う努力をしたほうがいいのかもしれない。
 しかし、相手が誰でもいいというわけではなく、たとえば――今目の前にいる人間、加納久。
 考えれば恐ろしく長い付き合いの人間だ。
 身内以外で考えれば、間違いなく五本の指にはいる。
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