光のもとでⅠ
「それはどうかな? ずっと座ってたから、足が痺れてるんじゃない?」
 彼女の顔が至近距離にあると、ついキスをしたくなる。
 だから、視線を前方に移した。
「……あの、いつから見ていたんですか?」
 できれば彼女の顔を見て話したいと思うけど、今はやめておこう。
 その代わり、今は腕の中に彼女がいる。
「ずっと――って言ったら気持ち悪いかな?」
 訊かれた内容に素直に答えすぎた。が、彼女はそれを嫌悪しているふうではなかった。
「休んでいたんじゃ……」
「そのつもりだったんだけどね……。見ていたかったんだ。でも、君の邪魔をしちゃいけないと思ったから部屋にいたけど」

 建物に入ると彼女をベッドへ下ろす。
 けれども、彼女は未だ思考停止状態だった。
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