光のもとでⅠ
「話って何?」
「昨日の帰りの話の続き。……というよりは結論。いや……宣戦布告、かな」
 ひとりはすぐにわかった。うちのクラスの姫こと翠葉ちゃん。
 もうひとりは語り口調から察するに、藤宮先輩だろう。
 我が校の姫と王子がそこで話している。
「空太、おまえ何やってんの?」
 洗面所からひょい、と顔を出した兄、葵。
「固まってる……」
「うん、そう見えるけど」
「出るに出られない……」
 小声で答える俺を不審に思ってか、俺のところまで真っ直ぐ来ると、ドアの前で耳を澄ませる。
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