光のもとでⅠ
『もう終わりでしょ? そしたらおいでおいで』
「うんっ!」
『じゃ、待ってるねー』
 通話を切ると、ツカサが「若槻さん?」と訊いてくる。
「うん。車の免許を取りに行っていて、二週間くらい合宿でいなかったの。でも、無事に免許取得できたみたい。今、職員用の駐車場で待ってるって。だから、今日の帰りは車だよ」
 いつもツカサと一緒に帰っているから、そのつもりでそう言うと、思わぬ言葉が返ってきた。
「若槻さんが来てるなら俺が一緒じゃなくても大丈夫だな」
「……え?」
「実家に取りに行きたい本があるから、若槻さんが来てるなら実家へ帰る」
「あ、うん……」
 どうしてか少しテンションが下がった自分がいた。
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