光のもとでⅠ
「ほら、最後まで残さず吐け」
「どっちもつらいの、わかる? ……身体が平気でも、心がつらい。私のやり場のない気持ちは溜まる一方で、全然昇華なんてされない。それを私は――どこまで溜めればいいの? ……この心は、いつまでもつのっ?」
 しゃっくりに邪魔されながらも、「最後」を伝える。
 もう、これ以上のものなどこの心にはない。
「わかってる……。だから、全部を取り上げるつもりはない。……いいか? 俺様の言うことをしっかり聞けよ?」
 そう言うと、先生が左隣に座り、私の身体をぎゅっと抱きしめた。
 隣に座っているけれど、ほぼ正面から抱きしめられている。
 先生の心音は規則正しく、力強くトクントクンと左耳から、左半身から伝わってくる。
 それと同時に身体の中から響く声と、頭上に降ってくる声が話を始めた。
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