光のもとでⅠ
「それ、秋兄が使ってる……」
「うん。話してなかったかな? 私、何もかも忘れてしまったけど、この香りだけは覚えていたの。それを話したら、パレスに行ったときに秋斗さんが手持ちの香水をプレゼントしてくれたの」
 湾曲を描く透明のボトルからツカサに視線を戻す。
「……ツカサ?」
 ツカサは射抜くようにそのボトルを見つめていた。
「ごめん、嫌いだった? 私、この香りが好きでルームスプレー代わりにしていたから――すぐに換気するね」
 朝起きたときとお風呂上りに一吹きするのが習慣になっていた。
 香りがきついものではないから、人体につけない限りはあまり長持ちする香りではない。
 昨日は何を言われるでもなかったんだけどな……。
 換気のために窓のロックに手をかけると、その手を止められた。
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