光のもとでⅠ
「別に嫌いじゃない。慣れてる……でも、翠がもともと使ってたものは?」
「え?」
「……別に香水とは限らないか」
 ツカサは私に背を向け、部屋の中央にあるローテーブルに着いた。
 ……もしかして――。
「これのこと?」
 アロマオイル意外に香りアイテムなんてふたつしか持っていない。
 そのうちのひとつが秋斗さんからいただいたものならば、ツカサが示すものはこれだろう。
 去年、入院していたときに看護師さんからいただいたもの。
 エラミカオのユージンゴールド。
 金の蝶がついている香水を引き出しから取り出し、それを渡す。
 ツカサは確認するように鼻を近づけた。
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