光のもとでⅠ
「あ、私のはちゃんときっちり二倍希釈だからねっ?」
「別に何も言ってないけど?」
「言われる気がしたから?」
「そこまで突っ込むつもりはない。御園生さんじゃあるまいし……」
 ツカサは受け取ったグラスをそのまま口もとへ運び、一口飲むと喉がごくりと動いた。
 ただそれだけなのに目が離せないってなんだろう……。
「何……?」
「えっ、あ――喉仏だなってっっっ」
 ……わわわ、私何言ってるんだろうっ!?
 ツカサは自分の喉もとに触れ、
「別に珍しいものじゃないと思うけど?」
「うん、そうだよねっ、珍しくないよねっ。蒼兄にも唯兄にもあるしっ」
 冷静になろう、冷静に冷静に冷静に――。
 ラグに座り、教科書とノートを目の前にして頭の中からツカサを追い出す。
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