光のもとでⅠ
 そうは思うけど――まさか、翠葉さん……それで安心したとか言いませんよね……?
 隣の空太と顔を見合わせ、「その次っ」と視線を送る。
 すると、

 ――「すでに呆れるは通り越しているからこれ以上呆れようがない。翠がどれだけ突飛な持論を展開させたところで何がどう変わるわけでもない」

 疑うまでもなく司の言葉。すげー司らしい言い回し。
 そして、その言葉にはまだ続きがあった。

 ――「ただ、俺にバカとかアホとか言われる覚悟だけはしておけ。言わない自信は微塵もない。それから、足――乗り物に乗ってるわけじゃないんだから自力で前に進まないと病院からは近づいてこないけど?」

 文面から「司」が滲み出すぎだろ……。おまえ、少し控えろよ……。
 思わずこめかみを押さえてしまう。
 隣の空太は両手で頭を抱えていた。
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