光のもとでⅠ
「ほら、正式に御園生唯芹になったので、藤宮警備にも届け出しました。変わってないのはウィステリアホテルの広報部の名前だけ。なので、お手数ですが訂正お願いします」
 そう言って、再度洗面所に引っ込んだ。
 私は声をかけずにゲストルームをあとにした。

 自宅に帰ってきて電気ケトルのスイッチを入れ、洗濯機の脱水を選択して稼動させた。
 ダイニングに戻ってくるとケトルがぐつぐつと沸騰の音を立てている。
 マグカップにはラベンダーティーのパックをセット。
 十分程度のティータイムを過ごすのにはティーパックでも十分。
「人との出逢いって不思議ね……」
 私は「運命」という言葉を使いたくなるけれど、人によっては「必然」という言葉を使うのだろう。
< 5,388 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop