光のもとでⅠ
「合同練習に入った今、俺らが次に歌を聴けるのって本番当日だもんな……」
「そうなのよ。なんだか気になっちゃって。こっそり茜先輩に探りを入れたんだけど、『いい感じに仕上がってきてるよ』としか答えてくれないし」
「ふーん、そりゃ気になるな」

 こんな会話がきっかけだった。
 明日が本番ともなれば、今日中に訊きたい。
 しかも、こいつ――司の前で。
 悪魔の触覚と尻尾の生えた俺がここにいる。
 だけれど、ここにはもうひとりそんなやつがいる。
 つまりは嵐子。
「翠葉はさ、何を思って歌うの?」
 嵐子が尋ねると、
「大好きな人たちに『ありがとう』と『大好き』を伝えたくて」
 笑顔で即答されたけれど、これでは面白くもなんともない。
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