光のもとでⅠ
「……面白い子だねぇ、まったく」
「あはは、正直に言ってくれていいよ。どちらかというなら面倒、だよね?」
 必然的に下から見上げる形で訊くと、空太くんは「くくっ」と笑った。
「姫だし、いーんじゃない?」
 そういう問題ではない気もするけれど……。
「だけどさ、これ希釈するにしてもどっちも未開封だから薄めるにはどっちかを出さなくちゃいけないよね」
 あ、そうだよね、そうだった……。
「空太くん、ありがとう。ミネラルウォーターだけもらえるかな?」
 ミネラルウォーターならそのまま飲める。
「いやっ、そこは意地でも譲れないでしょ。姫君には少しでもカロリーを摂ってもらわにゃならんのです。それが執事空太の任務っ」
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