光のもとでⅠ
 第三部はほとんどが円形ステージで行われる。
 だから、今は第三部でステージに上がる人たちで奈落はごった返していた。
「立花、飛翔(ひしょう)が来たけど?」
 佐野くんの後ろから背の高い男子と女の子が現れる。
「飛鳥、竜(りゅう)が所在不明なんだけど」
「はぁっっっ!? またっ!?」
 飛鳥ちゃんのよく通る声が響く。
「何なに? 俺のこと呼んだ? 俺ならここにいるよ?」
 人影からひょっこりと現れたのは、さっき私からチューナーを受け取ってくれた男子だった。
「あ、さっきのかわいいおねぃさん」
 にこりと笑われ、私は目を瞬かせる。
「あ、翠葉。紹介するね。このふたり私の弟なの」
 飛鳥ちゃんの唐突な言葉にびっくりした。
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