光のもとでⅠ
「……いつの間にケンカしたの?」
「ついさっきです……」
 ケンカ中でなくても一緒にステージに上がればツカサの好きな人はそれを目にするのだ。
 もしかしたら、観覧席ではなくこの奈落のどこかにいるのかもしれない。
 いくら姫と王子の出し物だからといっても、これ以上はもう――。
「ケンカ、ねぇ……。なんでケンカ?」
「…………」
「わかった、ケンカの原因を教えてくれたらいいよ。エスコート引き受ける」
「……ケンカの原因、言わなくちゃだめですか?」
「うん」
 即答だった。
「だって、今日見ていた限り、俺にはふたりがケンカする理由の見当がつかないんだ。その、わからないことを知りたいっていう探究心くらいは満たしたいかな?」
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