光のもとでⅠ
 その途中、蔵元さんだけが別の車であることと、今日はこのまま直帰することを聞いた。
 互いに「お疲れ様でした」と腰を折り、「明日も楽しまれてくださいね」の言葉に笑みを返した。
 秋斗さんの車に乗ってから気づいたこと。
「蒼兄、どうしよう……」
「どうした?」
 秋斗さんの隣に座る唯兄も後部座席を振り返る。
「今日ね、ツカサと携帯を交換していたのだけど、ツカサの携帯持ってきちゃった」
「あ、バイタルが見れるように?」
 交換していた理由にすぐ気づいたのは唯兄だった。
 私が頷くと、唯兄が面白そうに笑う。
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