光のもとでⅠ
「時間切れまであとどのくらいだろう……」
 そう口にしたとき、背後から声が降ってきた。
「どのくらいというよりは、すでに時間切れじゃない?」
「つ、ツカサっ!?」
 私は咄嗟に振り返り、顔を手で押さえる。
「何慌ててるんだか……」
「だって、なんか顔が熱い気がするから」
「それ、微熱だから」
「え……?」
「バイタル、見てみれば? 俺が最後に見たときは三十七度五分だったけど?」
 ポケットから取り出した携帯を見ると、そこには三十七度六分と表示されていた。
「今、簾条がかばん持ってくるから」
 ツカサはいつもと変わらず淡々と述べる。
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