光のもとでⅠ
 もっと早くに気づくべきだったし、もっと早くに対処しておくべきだった。
 今の今まで誰も気づかなかったことのほうがおかしい。
「翠葉、よね?」
「そう――逢坂の人間をマークしたところで害になりそうな人間はほかにもいる。薬物に関しては周りが動くだけじゃ完全には防げない」
「……警備サイドではじけるものには限界がある。薬物や飲食物までは防ぎようがない、か。ホント、迂闊だったわ」
 姉さんが頭を抱える気持ちはわからなくない。
 俺だって同じ行動をしたいくらいだ。
 藤宮警備がはじくのは普通の生徒を守るためのレベルであり、俺たち藤宮一族を守るためのものではない。
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