光のもとでⅠ
 それがベストだとわかっているのにきっかけが掴めない。
 翠は自分の足で歩いて登校するのがよほど嬉しいのか、靴音すら弾んで聞こえてくる。
 そんな気持ちでいるところへ話したい内容ではなかった。
 いつ切り出すか――。
 タイミングをうかがっていると、視覚や聴覚、その場の状況から得られる情報ではなく、たとえ文字になっていたとしても、「翠の言葉」とわかる言葉が紡がれた。
 一瞬にして、道の先に広がる景色に目を奪われる。
 朝の景色――。
 市街の高層ビルは朝陽を受けて眩しく光る。
 藤倉市街が一望できる丘。
 それが藤宮学園のある場所。
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