光のもとでⅠ

09~10 Side Soju 03話

「蒼樹さんっ」
 くん、と引っ張られたのは袖。
 振り返ったときには服ではなく手を――彼女の両手が俺の手をしっかりと掴んでいた。
「も、もか……?」
「こっち……」とそのまま手を引かれ階段に設けられているゲートまで来ると、桃華は制服のポケットからピンク色のカードケースを取り出し通り過ぎる。
 俺は簡易ブレスがあるからそのまま通過。
 桃華は俺の手を掴んだまま早足に進み、校内よりはやや人気の少ない外へ出た。
 俺の手を放すと、壁伝いにぺたりとしゃがみこむ。
 俺はこのくらいの距離を走ったくらいじゃ息が切れるなんてことはないけど、桃華は肩で息をし、胸に手を当てていた。
< 6,280 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop