光のもとでⅠ
 昇降機が完全に降下すると、翠のもうひとりの付き人が走ってくる。
「お疲れ様」と声をかけたあと、
「あれ? 翠葉ちゃん、また赤い?」
 覗き込むように翠の顔を見る。
 翠はさらに顔を上気させ、ものの見事に首から上が真っ赤になっていた。
 ケープがグリーンということもあり、赤味がより際立つ。
「……藤宮先輩、笑顔で翠葉ちゃんのこと覗き込んだりしましたか?」
「いや、してない。翠が勝手に百面相してるだけ」
 こんな場所に長々といられるか……。
 そう思って俺はその場を離れた。
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